翻訳のくるしみ(2)
2016.05.04
カテゴリ:エスペラント
翻訳のくるしみ(2)
いま、源氏物語第30帖「藤袴」(訳の)7ページ目を
翻訳ちゅうですが、いつもながら七転八倒。
7ページ目冒頭は次の文です。
かの母君の、あはれに一言ひおきしことの忘れざりしかば、心細き山里になむと聞きしを、かの大臣はた、聞き入れたまふべくもあらずと愁へしに、いとほしくてかく渡しはじめたるなり。
この文、主語がころんころん変わっているんです。
主語や助詞を補って、行を変えながら再掲すると
1 | かの(あの)母君の(が)、あはれに一言ひおきしことの(を) |
2 | (わたし=源氏は)忘れざりしかば(ので)、 |
3 | (娘が)心細き山里になむ(いる)と |
4 | (わたし=源氏)が聞きしを(のに)、 |
5 | かの大臣(が)はた、聞き入れたまふ |
6 | べくもあらずと(かれらが)愁へしに、 |
7 | (わたし=源氏は)いとほしくてかく渡しはじめたるなり。 |
どう訳します?
とりあえず、このようにやってみたのだ。
1,2 | Mi ne forgesis la testamenton de ŝia patrino, Lagenario, la vorton eldiritan en emocio, |
3,4 | kaj aŭdis, ke ili loĝis en la monto-vilaĝo, |
5,6 | kaj poste, por mia ĉagreniĝo, ili plendis, ke ŝia sanga patro, la ministro, ne havis orelojn ĝin aŭskulti. |
7 | Tial mi ricevis ŝin ĉe mi pro kompato. |
- なお、1,2のLagenario「夕顔」と
5,6の「ŝia sanga patro」(=頭中将)は追加です。
分かりやすくし、注を入れないですむよう、
ところどころこのようにしています。
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